「というわけで皆の諸君!明後日はついにセイント・ヴァレンタインズ・デイなわけだが!」
ばぁん、と一度机を叩いてテンション高く宣言する会長。仕事で休んでいるスザクとを除き、今日は全員生徒会室に揃っている。
「今度は何をするつもりですか、会長」
今度はなにをさせるつもりですか、と問いたいところだが、余計なことは言わないでおく。とんでもないことをやらされなければいいが。会長は満面の笑みを浮かべると、高らかに宣言した。
「題して、『イレブン流バレンタインデーパーティーin生徒会』っ!!!」
なんだそれは。
「はーい、会長」
「何かな、リヴァル君」
「具体的には何をやるんですかー?」
良くぞ聞いてくれました、などと言いながら、会長はいそいそとプリントを配りだした。どうしてこういうことに関しては仕事が速いんだ、この人は。
「今回はイレブンの流儀に従って、チョコレートの交換会をしようと思います。だから各自、当日に必ず一つだけ特別な本命チョコを用意してくること!で、それをランダムに交換し合うわけだけど、その方法は当日にお知らせするとして。それ以外に皆のためのチョコ、いわゆる友チョコを持ってきてもかまわないっていうか大歓迎だけど、特別なのはぜぇったい一つだけね!ふたつでもみっつでもだめよ、一つだけ、特別なのが本命チョコなんだから!アンダスタン?」
ちなみにスザクはが当日の強制連行を確約してくれたからね、と会長は楽しそうに語る。ご愁傷様だな、スザク。会長の悪巧み仲間、と同じ職場だと言う時点でお前は逃げられない。
「あ、あの…」
「はい、カレン君!」
「その本命チョコって、手作りじゃなきゃいけないんですか?」
イレブンにおいて本命チョコとは、手作りするものなのか。面倒だな。料理のできる会長のものならまだしも、食べられないようなものを作ってくる奴が確実に一人はいるしな…
「いいわよー市販でも。でも、せっかくだから手作りっていうのもいいわよねー。私は今日作ろうと思ってるんだけど、よかったら一緒に作る?」
「あ、私、会長と一緒に作りたいです!」
「わ、わたしも…」
「オーケーオーケー、大歓迎よ!」
「じゃあ、私も、お願いします」
「俺もー!」
「リヴァルはだめ!」
「なんでぇ?!」
世界の終わりのような声だ。
「だってー、曰く、このイベントの醍醐味は女の子同士で一緒にチョコ作ったり好きな人の話したりドキドキ感を分け合うことだっていうんだもーん」
「じゃあどうして俺達もチョコ持参なんです?」
「そんなの、女の子があげるだけじゃ不公平で面白くないからに決まってるじゃない」
そんなことだろうとは思ったが。ああ、まだリヴァルが机に沈んだままだ。
「それじゃ、忘れないでよ!本命チョコ、二日後!あー楽しみぃ〜!!!」
まあ、生徒会内でのパーティならば、いい。そう思った俺の会長に対する認識は、とんでもなく甘かった。
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2/12/07 First Up