● St. Valentine's Day 攻防戦 --- 二月十四日当日 ●

 

 

『放課後の放送の時間でーす!皆さん今日もいちに…あれ、会長?またなんかやるんですか?はい、電源なら入ってますよ、いやあの、音量ならもう十分大きくなってますから、それ以上大きくするとうるさいと思うんですけど、って会長聞いてます?きいてませんね…
ハァーイ、生徒会長のミレイ・アッシュフォードです。ハッピーセントバレンタインズデー!みんな、ちゃんと大切な人への贈り物は済ませたかしら?』


「今日、全校への連絡事項なんてあったっけ…?」

「会長、相変わらず元気ねー」


『さあて、ところ違えば習慣は違うもの。郷に入れば郷に従え。というわけで、今日はイレブンのバレンタインデーについて解説するわね。イレブンにおいてバレンタインズデーとは、なな、なあんと、好きな人に告白する日なんですって!愛を託すのは甘いチョコレート、たったひとつ、願いを込めたチョコレートに乗せて伝える甘いだけじゃないこの思い!』


「会長、詳しいね…」

の入れ知恵に決まってるだろ。あの二人が組むと碌なことにならないんだ」

「お代官様と越後屋、みたいなものかな?」


「…なんだそれ」



『ロマンチックよねー。というわけで、そのロマンチックさにあやかりたいと思った私は、生徒会メンバーに本日のチョコレート持参命令を出したわけなんだけれど。こんなロマンチックなイベント、私達だけで味わうのは、もったいないと思ったのよ』


「は?」

「え?」


「え、えぇ?」


「…ちょっと待て。」


「…?」


「…はぁ…ほんと、ミレイちゃんはこういうの大好きなんだから…」


「さあて、何をやらせてくれるのかな?」


『ねえ、みんな。生徒会メンバーの本命チョコ、欲しくない?』


…。


『欲しいものは、追いかけて捕まえてでももらわなきゃ、と思わない?』


・・・。


『ただいま三時二十九分。三十分よりジャスト一時間がリミット。お目当ての生徒会メンバーを追いかけて、捕まえられたらその人の本命チョコはあなたのものよ。ついでに、ひとつなんでもお願い権までつけちゃう!会長権限ね、これ!!!』


「な」
「ん」

「で」
「す」
「と」


「「「「「!?」」」」」


「あっはっはっはっはっは、そーきたかミレイ!」

「今日は追いかけっこかぁ…」


『ちなみに私ももちろん参加よ。女の子達の手作りを狙うもよし、お店でいい年してチョコ買った苦労に報いて男子を狙うもよし。さあ、

戦え、生徒諸君!愛に殉じた聖人の名にかけて!』





「会長の手作りチョコ、絶対ゲットしてやるっ…!」


「…本当に、碌なことにならない…」

「ようするに僕たち、逃げなくちゃいけないってことみたいだね」


「らしいな…」



「一時間…結構長いな…」


「えぇ?!ちょっとまってよ、私まだっていうかもう水着なのに!」


「こ、れ、だ、か、ら、ブリタニアはぁぁっ!」


「さーてと、頑張って逃げるとしますか」





『3、2、1、スタート!』

 

 

 


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2/14/07 First Up